【清里ブーム】の向こう側~廃墟?衰退?ゴーストタウン?なぜ「清里」は「軽井沢」になれないのか

清里駅前のメインストリート

衰退の代名詞ともいえる清里。高原・避暑地・別荘地・観光地など清里と共通点の多い人気の軽井沢。一体この違いはどこにあるのでしょうか?

現在「ファンシー廃墟」といった光景が確かに清里駅前には広がっています。しかしもう少し俯瞰的に見てみると、どうやら「イメージとは違った側面」と「深刻な背景」が見え隠れしているようです。

八ヶ岳南麓~イメージとは裏腹に清里の「現在」とは?

2024年現在。大企業の賃金アップやインバウンドの急増、日経平均株価が一時4万円を超えるなど日本経済に一縷の望みがよ~やく見えてきた昨今ですが、その足元では少子高齢化、人口減少などの問題が山積しているのも事実です。

そんな日本経済の歩みと共に、「清里」の過去と現在を見て行こうと思います。

バブルの波に乗っかって~昭和から平成へ

バブル期の清里

その昔、清里が全盛期だった頃のお話です。1989年夏、駅前通りは大型バスと乗用車で大渋滞。とりあえずレンタル自転車で清里高原をサイクリングして、ランチは北野印度カレーを食べて、ミルクポットでソフトクリームとお土産。記念にキーホルダーに名前を彫ってもらって、ついでに辰っちゃん漬けも買って帰ろうかなっと。どのお店もレジに並ぶお客さんでごった返しています。「ふ~っ」と一呼吸してからの~喫茶店でチョコレートパフェ!

「高原の原宿」と呼ばれていた頃の一幕です。お店は夜遅くまで営業を続け、レジの近くでは入りきらないお札を紙袋に詰め込んでいたそうです。

栄枯盛衰~平成の氷河期

バブル期に近づくにつれ「an・an」「non-no」といったファッション雑誌に清里が特集されると、若者が大挙して押し寄せるようになりました。そして次々とタレントショップやお土産屋が乱立し、なんとカラオケハウスまであったそうです。あっという間に若者を中心とした「高原の原宿」の出来上がり。当時の写真やYouTubeを観ると清里駅前には大型バスが入れるスペースがあり、人や車で溢れている光景には「おったまげ~」るばかりです。当時の日本は「土地ころがし」が盛んに行われ、「5時から男」「ワンレン」「ボディコン」が街にあふれ、ビジネスマンは「ショルダーホン」を肩に担ぎ「24時間働けますか」と自問自答しながら栄養ドリンクを飲み干す時代でした。「ゲロゲロ」!(意味不明な方はお父さんお母さんに確認下さい)

しかし「ブーム」とは一時的に流行る刹那の出来事。当然のように人は去っていきます。なぜなら「高原」に「原宿」は不釣り合いだから。若者が憧れる原宿は都心にある訳でわざわざ清里に行く必要もなく、本物に出会えないと理解するまでにそんなには時間を要さなかったでしょう。ここでいう本物とは「ウラハラ」裏原宿の事で、あるいは原宿+裏原宿で完成される雰囲気だったり文化だったりを指します。清里駅前で完結する文化など高が知れています。

諸行無常の響きあり

バブル期の清里と同じ場所から撮影

あれから30年あまり。バブル経済は崩壊、「失われた30年」「少子高齢化」「年金問題」など様々な社会問題を抱える日本。それに呼応するかのように「観光客の減少」「テナント撤退」「集客力低下」という負のスパイラルを見続けてきた清里。ネットでググれば廃墟や衰退などのワードが目立ちます。かつてこの建物の裏にはONE HAPPY PLAZAと呼ばれたショッピングモールがあり観光客や修学旅行生で賑わっていました。数年前までは普通に「清里バブル時代のわんこ散歩が出来たんですが・・・現在はサバイバルゲームの会場として転用されています(工事現場のように囲われて入れません)

移転後のミルクポット
今も残る廃業した貸自転車屋さん
今も残るビートたけしさんの北野印度会社跡

哀愁漂う遺構が何かを訴えかけているように思えてなりません。いつの日か・・なんて悠長な事を言ってる時間はもうありません。「寂しくて寂しくて~、もう待つことに疲れました~」と叫んでいるようです。

しかしながら実のところ・・

2023年復活のミルクポット

廃墟化・衰退しているのは清里駅前を中心とした数カ所です。ど~しても駅前ばかりをフォーカスするあまり、清里=廃墟の町というイメージが独り歩き。しかしながらジビエ料理や有名カレー店には長蛇の列ができ、「清泉寮」「萌木の村」には多くの観光客が訪れています。そして駅前のメインストリートにある「ミルクポット」は当時の姿をそのままに、2023年夏に見事に復活しました。またペットと泊まれるペンションやホテル、ペットと食事が出来るレストランやカフェが多数存在している事も大きな魅力でしょう。清里駅周辺にあるサブカルチャー的魅力に気付いている人は相当数いる気がします。要するに安易なブームに乗っかった「代償」が今の清里駅前に残っているだけで、老舗のペンションやレストランは現役で活躍しています。SNSやYouTubeで植え付けられたイメージとは裏腹に、清里全体でみると観光シーズンには多くの人で賑わっているのが現状です。


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一方で異父兄弟 軽井沢の魅力とは?

歴史に裏付けられた【地域ブランド】

宿場町として栄えると同時に交通網が発達し、宣教師として訪れたアレキサンダー・クロフト・ショーによって避暑地として賑わいをみせます。その後、亀屋ホテル・軽井沢ホテル・三笠ホテル(重要文化財)・万平ホテルなどの洋式ホテルが次々と開業。すべて100年以上昔のお話です。文化人も多く滞在し、川端康成の作品などで軽井沢が広く知られるようになりました。何県にあるかは知らなくとも「軽井沢」を知らない人はいないでしょう。

発達を続ける【鉄道網】
都心から北陸新幹線で1時間。

幼・小・中一貫の【風越学園開校】
若い移住者と未来の誘致。

発表【インバウンドビジョン】
2024年に外国人宿泊者数延べ30万人を目指します。
(軽井沢町公式HPより)


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まとめ

非常に共通点の多い清里と軽井沢。しかし決定的に異なる点が1つあります。それは「人口推移」。2021年4月に軽井沢町の人口が初めて21,000人を超えました。過去10年間をみても右肩上がりに増加しています。特に私立学校「風越学園」開校の影響は大きく今後の行方を左右する大きな要因となる事でしょう。子供の成長と共に地域も成長します。人口増加による経済効果は絶大ですから。一方、「清里のある山梨県北杜市(ほくとし)」の人口は2005年の48,000人をピークに減少を続け、2020年には44,000人あまりとなっています。山梨県内においても65歳以上の人口割合が高く、高齢化が進んでいる地域と言えるでしょう。更に小中学校の統廃合も年々加速し、外国人観光客にいたってはほとんど見かける事はありません。果たして北杜市の未来予想図とはいかに?

全国の自治体が頭を悩ませている人口減少。観光業にしても農業にしても最終的には人が支えになります。こと清里に関していえば、兄弟のような存在「軽井沢」をモデルケースにして全力で真似たらいいと個人的には思います。実際、軽井沢にも廃墟化している地域は存在していますが、それ以上に地域ブランドを活かした成長戦略が功を奏しています。悲しいかな観光業だけでは乗り越えられない清里の「現在」が透けて見える気がしてなりません。

我が家が八ヶ岳南麓に半移住して8年目を迎えた2024年。住むにも遊ぶにも自信をもってオススメできる高原です。清里バブル時代のブランドメッキはあっさり剝げ落ちましたが、個人的に「清里ブランド」、まだまだ捨てたものではないと確信しています。


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愛犬家の為の八ヶ岳周辺情報

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